僕の母親は、昔から目に見えないものやスピリチュアル的な話が大好きでした。霊格や魂のレベルといった概念を本気で信じているのです。その影響もあり、幼い頃からスピリチュアル的な価値観に触れる機会が多く、当時はそういう不思議な事もあるのかなと素直に受け取っていた時代もありました。
さらに僕の親戚のおじさんには、“宇宙の真理を発見した”と豪語する自称霊能者をやってる人がいます。このおじさんについて詳しく書くと特定される恐れがあるので、どんな事をしている人なのかについてはあまり触れないでおきます。
僕自身は幼少期に母親に連れられて何度か会いに行った事があるらしいのですが、今では記憶になく、顔も全く思い出せないです。ただそのおじさん曰く、僕の魂はものすごく強いらしいとの事です。
魂が強い? その根拠は?
そのおじさんは当時の僕を見て「この子はめちゃくちゃ魂が強いよ!」と太鼓判を押していたと母親からは聞かされています。しかし僕自身の人生を振り返ると、その評価には全然納得できないです。もし本当に魂が強いのであれば子供時代にいじめられ続けることもなかっただろうし、社会人になって1ヶ月も持たずに心が折れて仕事を辞めることもなかったはずです。
現在は幸運にも顔出し一切無しのYouTuberとして生活していますが、自分の心や魂が強かったからここまで来られたとは思っていません。ただただ普通の社会人として生きる自信がなく、怖かったので逃げ続けた結果が今の僕なんです。この経験から言えるのは、目に見えない世界やスピリチュアルの話は全く根拠がないということです。
僕が今の生活を手に入れられたのは結局のところ、何とかして自分1人だけで稼げる方法が無いかを真剣に考えて努力を重ね、お金になるよう工夫してきたからだと思っています。客観的に見れば『努力を続ける強さ』があったとも言えるかもしれません。しかし、それをスピリチュアル的な『魂の強さ』と結びつける事は飛躍しすぎていると思っています。むしろ僕は嫌なことから逃げ続けた弱い人間だと今でも感じています。
また過去にいじめられたりした経験も、『魂が強いからこそ、魂が弱い人の代わりにいじめられる経験をしにこの世に生まれてきている』みたいな事をほざいている自称霊能者が居たりしますが、こういった論調を容認してしまうと、いじめ加害者側が『俺達はアイツの魂の強さを試しているだけ』などとといった歪んだ理屈で自らの加害行為を正当化してしまう可能性があるし、『いじめの加害者となる人間は魂が弱いからこそ、そういった行為に及んでしまうから仕方がない』みたいな、『魂の弱さ』というのがいじめ加害者側の免罪符になりかねないです。
このように自称霊能者の発言というのは、いじめられた側の苦しみや感情を軽視するだけでなく、責任の所在を曖昧にし、加害者をかえって助長する結果を招く恐れがあります。いじめによる苦しみは被害者にとって深刻なものであり、それを『魂の強さ、魂の試練』などという科学的根拠の無い曖昧な言葉で片付けられるべきではないと僕は考えています。
結局の所、人生において不遇な目に遭い続けている人達の方が魂のレベルが高いという話は、辛い事を我慢して生きている人達の方が偉いという世間一般的な考えに説得力を持たせる為に自称霊能者達がでっち上げた、『都合の良い設定』であるという事です。
スピリチュアルビジネスの危険性
YouTube上には、スピリチュアルを売りにした謎のYouTuberが数多く存在します。人生がうまくいかない人々をターゲットに霊視やカウンセリングを行い、誰にでも当て嵌まりそうなそれらしいことを言って信じさせる詐欺師みたいな人達が沢山居ます。
僕の親戚のおじさんもおそらくその類なのだろうと考えています。しかし母親は「おじさんは本物だから」「詐欺霊能者と違ってお金を要求しないから」と言い、僕の忠告には耳を貸そうとしません。
また母親は一時期、とある宗教に傾倒していた時期もあり、わざわざ高い交通費と参加費を支払ってまで僕を時々集会に連れて行っては、その宗教法人の代表者の話を聞きに行ったりしていた事もありました。
ですが僕からすればお金を受け取っていようがなかろうが、科学的に証明されていない根拠の無い事をあたかも100%本当であるかのように信じ込ませ、相談者を安心させるやり方は実質詐欺みたいなものだと考えています。
母親曰く、代表者の人を普通のカメラで撮影しようとしても白い光に覆われて撮影出来ないので、ウェブサイトに載っている代表者の写真は霊的な力が備わった特殊なカメラで撮影しているらしい・・・との事です。しかし、普通のカメラだと必ず白い光に覆われて撮影出来ない人物なんてこの世に存在するはずがありません。
こんな事を書くと、「私は実際に視えた事がある」とか「夢に亡くなった人が出てきた事があるから絶対に霊の世界はある」とか「あの霊能者は自分の知らない事を全部言い当ててきた」などと言ってくる人達が湧いてきそうですが、絶対にあると言い切れるのなら霊の存在を科学的に証明してくれないといけない訳です。
自分しか知らないはずの事を言い当ててくる現象については、YouTubeで情報収集をしていれば、そういったテクニック(バーナム効果、コールドリーディング、ホットリーディング等)があるという事は色々学べますし、母が一時期ハマっていた宗教法人トップの方はそれらのテクニックに異常に長けているからこそ、うまくビジネスとして継続出来ているのだと思います。あと「本当に視えた事がある」と言っている人は、単に幻覚が視えてしまう病気持ちだったりする可能性の方が遥かに高いと思います。
本当に霊視ができるのなら
もし本当に霊視ができるのなら、行方不明になった人の居場所や未解決事件の真相など、社会的に役立つことをして欲しいと思います。しかし、それができるという証拠を見たことは今までの人生で一度もありません。スピリチュアルビジネスは根拠のない話をもっともらしく語り、困っている人からお金を搾取するものだと僕は思っています。
結論:目に見えない世界より現実を生きた方が明らかに人生は良くなる
スピリチュアルに救いを求める人がいるのは理解できます。悩みや苦しみがある中で何かにすがりたいという気持ちは人間として自然なことだとは思っています。しかし、スピリチュアルに頼ることで問題が解決することはほぼありませんし、実際そういうのを信じて結果が良くなった試しが、少なくとも僕の人生においては一度もありませんでした。
結局の所は現実を直視し、自分が出来る範囲で努力し続けることしか人生を良くする方法は無いんだな・・・と今では強く思っていますし、自分の不遇な人生を『天から与えられた試練だから仕方がない』などと思い込んで我慢して生き続ける事の方が、今後の人生の可能性や選択肢を極端に狭めてしまうという意味で圧倒的にリスクが高いと考えています。
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